大学教授に聞く

今回は青峰先生に聞く
本格的な冬の到来です。寒さが厳しくなるこの季節は「手足がいつも冷たい」「厚着をしても体が温まらない」など「冷え症」に悩む方が多いのではないでしょうか。「冷え症」は直接生命に関わるような病気ではありませんが、本人にとって辛いのはもちろんのこと、「体質だから・・・」とあきらめて放置しておくと、肩こり、腰痛、不眠、集中力低下といったさまざまな体調不良を招きます。そこで今回は、中村学園大学の青峰正裕教授に「冷え症」の原因や危険性、予防や改善策について伺いました。

「冷え症」を引き起こす現代人の生活

「冷え症」とは医学的に明確な定義はなく、症状も人によってさまざまです。一般的に、冬季に手足の指先など体の局所が異常に冷え、そのために寝つきが悪くなる、指先の感覚が鈍るなど、日常生活において支障をきたしたり、苦痛を感じたりする状態が続く場合を言います。とくに思春期以降、また更年期の女性に発症するケースが多いことから、女性ホルモンの分泌変化による影響が大きいのではないかと考えられていました。

ところが最近では、思春期以前の子どもや成人男性の冷え症も増加傾向にあると同時に、季節を問わず体の冷えを訴える人が多くなってきています。これは、夏の冷房やインスタント食品の摂取といった、現代人の生活スタイルの変化や食生活の乱れ、運動不足、過度なダイエット、喫煙などの影響による恒常性や自律神経の乱れが原因になっているのではないかと推測されています。しかし、冷え症が直接生命に関わるような病気ではないため、医学面での研究や治療の対象にはなりにくく、はっきりした原因については解明されておらず、完治させる薬などもないというのが実情です。

中村学園大学で女子大生を対象に行った調査によると、筋肉量が少なく低体重、低血圧、徐脈傾向(脈拍数が1分間に60回以下)、貧血などが冷え症と関係しているという結果が出ました。また、母親が冷え症である場合の遺伝的要素、さらに無理なダイエットや薄着、食生活の乱れなども冷え症を引き起こす可能性があることも予測できました。

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「冷え症」は万病のもと早めの対策が肝心

そもそも冷え症というのは、さまざまな原因によって血管が収縮し、血液のめぐりが悪くなり、末梢の毛細血管までスムーズに流れない状態。とくに女性は「自律神経」の乱れからくることが多いようです。自律神経が内臓・血管・心筋などを支配しているため、自律神経が乱れると血管の運動障害を起こし、冷えやすくなるのです。

冷え症を放っておくと血管はますます収縮し、新陳代謝も低下して、肥満や睡眠不足、疲れやすさを招いたり、集中力や注意力が散漫になったりと、さまざまな悪影響を及ぼします。さらに、貧血、頭痛、腰痛、肩こり、関節痛、全身倦怠、手足のしびれ、胃腸障害、婦人科系疾患、感染症、膀胱炎、アレルギー、うつといった病気の引き金にもなります。その他にも、甲状腺機能低下症、膠原病(こうげんびょう)、心臓病といった重大な疾患が隠れている場合があるので注意が必要です。

また、子どもの場合は、遅刻、不登校、授業中の居眠り、注意散漫の原因となり、場合によっては発育不良を招くことも考えられます。高齢者においては、75歳以上で8割の人が冷え症だと言われ、血液循環や代謝の低下、さらには体温調節機能低下から低体温症になる危険性があります。低体温症とは、体の中枢の深部体温(内臓の温度)が35℃以下になってしまう病気で、放置すれば意識の喪失や呼吸の停止を招き、死に至ることもあります。

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