大学教授に聞く

今回は原先生に聞く
最近、「リコピン」という成分が健康に良い食品として、大変注目を集めています。リコピンとは天然カロチノイドの一種で、トマトに最も多く含まれています。イタリアでは古くから「トマトが赤くなると医者が青くなる」ということわざがあり、"医者いらず"の健康野菜として知られ、さまざまな料理に利用されてきました。そこで今回は、中村学園大学の原孝之教授と竹嶋美夏子助教に、トマトに含まれる「リコピン」について伺いました。

おいしく、栄養たっぷり夏の食卓を彩る優良野菜

トマト

今や一年中食べられるトマトですが、実は代表的な夏野菜のひとつ。原産地は南アメリカのペルーやエクアドルなどアンデスの高原地域で、長い間、毒があって食べられないと考えられていたそうです。16世紀にヨーロッパへ渡り、世界中に広まっていきましたが、食用として食べられるようになったのは、200年ほど前から。日本にも17世紀頃に渡来しましたが、当初は鑑賞用として栽培され、食用として普及したのは大正時代になってからです。さらに一般に広く食べられるようになったのは、昭和30年代に入ってからだそうです。

トマトには、ビタミンCをはじめ、ビタミンA、ビタミンB、カリウム、カルシウム、鉄など、さまざまな栄養素が含まれています。パスタやピザ、煮込み料理などたくさんのトマト料理があるイタリアでは、前述したことわざがあるように、トマトの健康効果が古くから知られていました。そこへ、最近になって効果が認められたのが、トマトの赤い色素成分「リコピン」です。

リコピンとは、人参などの緑黄色野菜に含まれるβカロテンの仲間で、その抗酸化作用は人参の約2倍、アーモンドなどに含まれるビタミンEの約100倍の働きがあると言われています。抗酸化作用とは、ガンをはじめとするさまざまな生活習慣病の原因となる活性酸素を消去する働きのこと。欧米の男性に非常に多い前立腺ガンが、トマト消費量の多いイタリアでは少ない傾向にあったことから、リコピンが注目されるようになったのです。

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ガン予防から美白まで真っ赤なトマトのリコピンパワー

リコピンの働きは、何と言っても強力な抗酸化作用です。人間の体内では、常に一定の割合で老化や病気の原因と言われる活性酸素が発生しています。活性酸素とは、人が息をすることによって空気中から取り入れた酸素が体内で"錆びた状態"に変質したもの。増加すると細胞膜や遺伝子を傷つけ、ガン細胞ができたり、動脈硬化などの怖い生活習慣病を引き起こすきっかけになるのです。しかし、リコピンを摂取することによって、活性酸素を消し去り、発がん抑制のほか、多くの病気の改善・予防に効果を発揮してくれます。さらに、環境汚染や喫煙による肺へのダメージの軽減、老眼や白内障といった活性酸素によって引き起こされる視力低下の予防、そして悪玉コレステロールの酸化や脂肪細胞の成長を抑えて太りにくい体質にしてくれるとも言われています。また、紫外線を浴びてダメージを受けた肌には、高い抗酸化作用でシミやくすみの原因となるメラニン色素を減少させてくれるため、美白効果も期待できます。

トマトのリコピンは、日光を浴びながら緑色から赤色に熟していく過程の中で、大幅に増加していきます。その際、食物繊維やビタミンC、ビタミンEなどの成分も増加していくので、トマトは赤ければ赤いほど栄養豊富と言えます。リコピンはスイカ、ピンクーグレープフルーツ、柿にも含まれていますが、身近で食べやすいトマトが断然おすすめです。

赤系トマトの収穫期に向けた栄養素顔優良の推移

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