大学教授に聞く

今回は石橋先生に聞く
古くから薬や調味料として親しまれてきた酢は、4~5世紀頃、酒造技術とともに中国から伝わったと言われています。特に最近は、食欲増進や疲労回復、高血圧予防など、私たちの体を健康に保つさまざまな効能が期待されており、料理はもちろん、健康ドリンクとして飲むなど、積極的に摂る人が増えてきました。しかし、ひと口に「酢」と言っても、原料や製造方法によってさまざまな種類があります。そこで今回は、九州女子大学の石橋源次教授に「酢」の種類や効果的な摂り方などについて伺いました。

原料、製造方法で異なる「酢」の種類いろいろ

「酢」は、微生物の働きを利用して酢酸発酵させたものです。ひと口に「酢」と言っても、原料や製造方法によって味や色が異なります。一般的に使用されているのは、米や麦などの穀類や、果実や野菜などを醸造発酵させて作る「醸造酢」。「醸造酢」はすっきりした酸味が特徴で、米で作ったものは「米酢」、果実で作ったものは「リンゴ酢」「柿酢」などと原料の名前がつき、それぞれの特徴を生かして料理に利用したり、ドリンクとして飲まれています。

また、数年前から長期熟成、発酵して作られた「香錯」「黒酢」「もろみ酢」「きび酢」など、昔ながらの天然醸造酢が体に良い健康酢として注目されています。「香錯」は古くから中国で作られており、もち米、麹、塩を原料として、半年以上かけて専用の甕の中で発酵させたものです。「黒酢」は穀物酢に玄米を入れて発酵させ、1~3年という長い時間をかけて熟成させたもの。アミノ酸と糖の反応によって、熟成時間が長いほど黒っぽい色になります。「もろみ酢」とは黒麹菌を使用する焼酎や泡盛からできる天然醸造酢。麹菌由来のクエン酸やアミノ酸が豊富に含まれているため、刺激が少なく、まろやかで飲みやすい酸味が特徴です。「きび酢」はさとうきびだけを原料とした、鹿児島県の喜界島(きかいじま)に古くから伝わる自然発酵・天然醸造酢。日本人が摂り過ぎている塩分が少ない半面、不足しているカルシウム、マグネシウム、カリウムなどのミネラル分、さらに活性酸素を抑えるポリフェノールが豊富に含まれているのが特徴です。

このページのトップへ ▲

有機酸の働きで驚きの健康効果

「酢」にはさまざまな種類がありますが、主に料理などに使用する食酢と、健康維持のために飲む健康酢があります。食酢と健康酢の違いは、主成分の違いです。食酢の主成分は「酢酸」で、抗菌・殺菌・防腐作用、食欲増進などがあります。一方、香酢など健康酢の主成分は「クエン酸」で、疲労回復、血圧降下、血中コレステロールの減少効果、免疫力アップ、血行促進、活性酸素の除去、新陳代謝の促進、カルシウムや鉄などミネラルの吸収促進といった作用があります。

健康酢は種類によって効能が異なります。例えば、「香錯」にはアミノ酸が豊富に含まれており、疲労回復、老化防止をはじめ、血液に関するさまざまな健康効果があるとされています。「黒酢」は褐色物質のメラノイジンにコレステロールの吸収を抑える作用が期待できます。また、生活習慣病や老化を防止する抗酸化作用の働きもあります。「もろみ酢」は他の酢と比べて、天然のクエン酸とアミノ酸の含有量が豊富です。疲労回復や炎症作用に加えて、脂肪や糖の代謝を促進し、ダイエットや美容にも良いとされています。そして「きび酢」には貧血防止、高血圧予防、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)予防、疲労回復、コレステロール低下、糖尿病予防、ストレスを解消して精神を安定させるといった働きがあると言われています。

このページのトップへ ▲