大学教授に聞く

他の食品と影響し合うことで酢の健康効果がさらにアップ

酢は、他の食材と合わせて摂ることで相乗効果を出し、さまざまな健康面での効能をもたらします。例えば、酢に含まれる「酢酸」はカルシウムの吸収を助ける働きがあるので、煮魚や海鮮のスープなどを作るときに酢を少し入れるだけで、通常の4~5倍のカルシウム摂取が期待できます。小魚を南蛮漬けにすれば骨まで食べられるようになるので、カルシウム吸収率は格段にアップします。酢は加熱しても栄養成分は変わらず、酸味が弱まるので食べやすくなります。

また、酢には胃液の分泌を促進し、消化酵素のはたらきを活発にする働きがあり、脂肪の多い魚や肉といった消化の悪い食べ物の食べ過ぎによる胃もたれや、消化不良を防止する効能もあると言われています。

南蛮漬け

さらに調味料として利用すると、料理の油っぽさや生臭さを和らげたり、固い肉を柔らかくしたり、野菜のえぐみや苦み・灰汁をとったりして、料理の味をよりおいしくしてくれます。また、酸味で料理の味を際立たせることで減塩効果も期待できます。

しかし、こうした健康に有用な効果は「合成酢」や「加工酢」では得られません。購入する際には食品表示をよく見て、原料や成分、製造法などを確認して「醸造酢」を選ぶようにしましょう。また、酢の効果は持続性がないので、毎日摂り続けることが大切です。健康のための摂取量は1日15ml程度を目安にし、摂り過ぎに注意しましょう。飲用する場合は、空腹時に原液のまま飲むと刺激が強過ぎて胃を痛めることもあるので、水や炭酸水などでお好みの濃さに割って飲むことをおすすめします。

一般に、「酢」と聞くと酸っぱいイメージで苦手という方も多いかもしれません。そんな方は、加熱して酸味を弱めたり、フルーツ由来の甘めの酢を取り入れてみてはいかがでしょうか。酢にはたくさんの健康パワーが秘められています。普段の食生活で、おいしく効果的に取り入れて健康な生活を送りましょう。

石橋 源次(いしばし げんじ)先生

農学修士
九州女子大学家政学部特任教授
九州女子大学・短期大学学長特別補佐
1969年東京農業大学農学研究科農芸化学専攻修士課程修了後、聖徳栄養短期大学助手。71年から九州女子大学講師、助教授を経て、92年から94年まで九州女子大学家政学部長、99年から08年まで福原学園評議委員、03年から07年まで九州女子大学家政学部長を務める。98年より日本食生活学会評議委員所属。03年から06年まで社団法人全国栄養士協議会理事に就任。主な研究活動として「乳酸菌発酵産生物の栄養学的検討」、「ヒアルロン酸を用いた食品の開発と脂質代謝への影響」などがある。