大学教授に聞く

今回は三嶋先生に聞く
秋はイワシやサンマ、サバなどの青魚が旬を迎える季節。最近では、冷凍技術や養殖技術が発達したおかげで1年中食べられる魚介類も多くなりました。しかし、秋にとれる脂ののった青魚は良質なたんぱく質の他にもDHAやEPAなど、生活習慣病の予防をはじめ、健康を維持・増進していくうえで有用な成分を豊富に含んでいます。風味が良く、栄養価にも優れた旬の青魚は、この時期、積極的に摂っていきたいもの。そこで今回は、九州栄養福祉大学の三嶋敏雄教授に青魚の健康パワーについて伺いました。

肉食から魚食へ青魚を食べよう

良質なたんぱく源として、昔から私たち日本人の健康を支えてきた魚介類。しかし、近年は食生活の欧米化によって肉食が増えるとともに、「調理が面倒」「食べにくい」などの理由から、魚介類の摂取量が年々減っています。しかし、魚介類はおいしいだけでなく、体に欠かせない栄養素を豊富に含んでいます。たんぱく質をはじめ、カルシウムなどのミネラルやビタミン、とくに最近注目されているのが青魚に多く含まれているDHAとEPAです。
そもそも「青魚」とは、背が青または黒で、腹側が白い魚の総称です。種類としてはイワシ、サンマ、サバ、アジ、カツオ、ブリ、マグロなどがあげられます。

青魚はもちろん、魚介類は食肉や卵、牛乳、大豆などと同様に、主にたんぱく質でできており、人の体内でアミノ酸として吸収されます。この食品中のたんぱく質の品質を評価する〝アミノ酸スコア〟という基準があるのですが、青魚はそのアミノ酸スコアが100。つまり、必須アミノ酸がバランス良く豊富に含まれているということを意味します。たとえば、日本人の主食である白米は、必須アミノ酸のリジンが不足しているので、魚などの良質なたんぱく質を含む食品とともに摂ることで、バランスよくアミノ酸を補うことができるのです。魚肉は食肉と比べて組織が柔らかく、消化が良いと言われているので、胃腸にもやさしい食品です。

また、魚のたんぱく質は血圧を下げ、脳卒中の死亡率を下げることが期待されています。さらに青魚を発酵させ、たんぱく質が分解されるとペプチドという形になります。このペプチドにも血圧低下の作用があるとされ、青魚の発酵食品である魚醤、鰹節、くさや、味噌漬けなどは積極的に摂りたい食品です。

青魚の刺身

※塩分の摂り過ぎにはご注意ください。

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青魚の脂質に含まれるDHAとEPAの健康効果

青魚の脂質には、食肉にはほとんど含まれていないDHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)と呼ばれる多価不飽和脂肪酸が豊富に含まれています。特に脂ののった旬の青魚の含有量は、他の魚介類と比べて多く、肝臓での中性脂肪の合成を抑制する働きがあり、健康維持には欠かせない栄養素と言われています。

また、DHA・EPAは血液中の中性脂肪を減らして善玉コレステロールを増やし、血栓の形成を抑えて、血液をサラサラにすると言われています。さらに、動脈硬化をはじめ、脳血栓や心筋梗塞といった生活習慣病の予防にも効果が期待できます。

魚の目や頭のまわり、内臓などに多く含まれるDHAは、脳の機能、知能の発達、視力に重要な役割を果たしていると考えられています。DHAは、人間の脳細胞や目の網膜などに含まれており、成長に伴って脳内で増加することが知られています。子供の脳や神経の発達にDHAは欠かせない栄養素であり、とくに乳幼児は体内での生成が追いつかないこともあるそうです。

また、成人においては、DHAの摂取が少ないと、うつ病や視力への影響など慢性的な疾患を引き起こす可能性があるとされ、高齢者では加齢に伴う認知機能の低下を遅らせたり、アルツハイマー病の予防効果も知られています。乳幼児のいる母親をはじめ、子供から大人まで青魚を積極的に食べることをおすすめします。

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