大学教授に聞く

今回は安井先生に聞く
昔から日本人が日常的に食べてきた海藻。味噌汁や酢の物、煮物といった日本の伝統的な食文化を支えるとともに、その豊富な栄養価から日本人が長寿である理由のひとつとも考えられ、積極的に摂りたい食品です。しかし近年では、食生活が変化したことに加え、海藻を用いた料理の調理法を知らない世代も増えていることなどから、海藻離れが進んでいると言われています。そこで今回は、海藻のエキスパートである北海道大学 大学院教授の安井(やすい)(はじめ)先生に「海藻」の栄養価や効能、効果的な食べ方などについて伺いました。

種類豊富な海藻が日本人の健康と美容をサポート

ひと口に海藻と言ってもその種類は多く、大きく分けて褐藻(かっそう)紅藻(こうそう)緑藻(りょくそう)という3つのグループがあります。

褐藻……
ワカメ、マコンブ、ヒジキ、ホンダワラ、モズクなど
紅藻……
テングサ、フノリ、マクサ、ツノマタ、イギスなど
緑藻……
ウスバアオノリ、エゾヒトエグサ、クビレズタ(ウミブドウ)など

それらの中でも注目されているのが、コンブ類、ホンダワラ類、ツノマタ類、イギス類です。その理由は、海藻由来の水溶性食物繊維を多量に含んでいることに加え、良質なたんぱく質、脂質、ミネラルが豊富だからです。さらに、海藻の種類によっても多様な特徴があり、食べておいしいだけでなく、多岐にわたって現代人の健康や美容をサポートして生活を豊かにしてくれています。

また、これらの海藻は光合成を行い、海の中に「海中林(かいちゅうりん)」と呼ばれる森を作ります。この森が魚や貝、エビなどの産卵、育成、生活する場となることによって、海の生物を絶やさないようにする役目を果たしており、非常に価値の高い持続可能な日本の資源だと言えるのです。

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低カロリーで、栄養たっぷり 海藻のさまざまな健康効果

海藻は食物繊維、ミネラル、ビタミンの宝庫。加えて低カロリーで、肥満防止やダイエットの強い味方です。最近は欧米などでも“シー・ベジタブル(海の野菜)”と呼ばれ、健康食品として注目を集めているそうです。

海藻に含まれる食物繊維は「水溶性食物繊維」で、主成分はフコイダンとアルギン酸。これらはコンブ類やヒジキなどに含まれるとろみやネバネバの成分のことです。特に「ガゴメコンブ」にはマコンブと比べて2倍以上のフコイダンが含まれています。これら海藻由来の水溶性食物繊維は一般に、体内での糖の吸収を和らげたり、腸内の環境を整えたりするほか、コレステロールや血圧の低下作用、抗がん作用などが知られています。

さらに、海藻に含まれるカルシウム、カリウム、マグネシウム、鉄などの豊富なミネラル類も見逃せません。現代の日本人は前述した食物繊維とともに、ミネラル類も不足しがちです。ミネラル類のカルシウム、カリウム、マグネシウムは以下の働きがあります。

カルシウム……
骨や歯を強くするのをはじめ、血液、筋肉、神経に存在して正常な働きを支えるとともに、精神的なストレスを和らげる効果があります。
カリウム……
体内の細胞内外でナトリウムとイオンバランスを保ち、水分調整や血圧の正常化、利尿効果の働きをします。
マグネシウム……
カルシウムと一緒に体内で働き、骨の形成と筋肉の活動にも大切な役割を持っています。

数ある海藻の中でも、これらの栄養素が多く含まれるのはコンブ類、ヒジキ、アオノリ類、スサビノリなどです。

また、コンブ類はどれもヨウ素を多く含みます。ヨウ素は体の代謝を促進する甲状腺ホルモンを構成する重要成分です。不足すると、成長不良や精神発達の遅れがあらわれ、逆に過剰に摂り過ぎると甲状腺の異常を起こす可能性があり、ヨウ素が健康に影響を及ぼさない量には個人差があるので注意が必要です。コンブを10~15分間真水にさらすと、ヨウ素の多くが溶け出してヨウ素量を減らすことができます。

 

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